【タイAIシリーズ・第7回】タイのAIとスタートアップエコシステムの最新動向

はじめに

タイのAI市場は急成長を続けていますが、その原動力のひとつが スタートアップの存在 です。
バンコクを中心に新しいAI企業が次々と誕生し、投資家や政府支援と連携してエコシステムが形成されています。
今回は、タイにおける AIスタートアップの現状と成長環境 を紹介します。


1. タイのスタートアップエコシステムの全体像

  • バンコク は「東南アジアのスタートアップ拠点」のひとつに位置付けられ、AI関連企業が急増。

  • EEC(東部経済回廊) ではスマートシティ構想のもと、製造業・物流分野のAIスタートアップが活躍。

  • 政府のBOI優遇政策により、外国人起業家も参入しやすい環境が整っています。


2. 注目のAIスタートアップ事例

  • Aiforia Asia
    医療AIを手がける企業。病理画像のAI解析で診断支援を提供。

  • Wisesight
    SNSデータを分析し、マーケティングに役立つインサイトを企業に提供。

  • Botnoi
    タイ語対応のAIチャットボット開発企業。金融機関や小売業界で導入が拡大。

  • Eko.ai(タイ拠点)
    心臓超音波画像をAI解析し、医師の負担を軽減するサービスを提供。


3. 投資と支援の動向

  • ベンチャーキャピタル(VC)
    500 TukTuks、Singtel Innov8、CyberAgent Capitalなどが積極投資。

  • アクセラレーター
    True Digital ParkやAISのスタートアップ支援プログラムでAI企業が育成。

  • 資金調達トレンド
    2024年にはタイのスタートアップ投資額が 10億ドル超 と報告され、その中でAI関連は約20%を占める。


4. タイでのAI起業の魅力

  1. 市場規模拡大中:2030年までにAI市場は25億ドル規模へ

  2. 政府の支援:法人税免除、補助金、研究開発支援

  3. 多言語対応の強み:観光立国ならではのAI需要(英語・中国語・日本語・タイ語)

  4. 人材コストの競争力:欧米やシンガポールに比べ開発コストが安価


5. 今後の課題

  • 国際競争力の強化:シンガポールやベトナムに比べ投資規模がまだ小さい

  • 人材不足:AI研究者やデータサイエンティストは依然として不足

  • 出口戦略:IPOやM&Aによる成功事例が少なく、投資家にとっての魅力をどう高めるかが鍵


Tensui
Tensui

まとめ

タイのAIスタートアップは観光、医療、マーケティング、チャットボットなど幅広い分野で成長中です。
政府支援と投資環境の改善により、今後はASEANを代表するAIハブの一角を担う可能性があります。

次回(第8回)は 「タイのAIと社会課題解決:環境・交通・農業への応用」 をテーマに、持続可能な社会を支えるAI活用事例を紹介します。